避難訓練の定番は『机の下にもぐる』ですね。しかし、実際避難する場合、状況によってはキケンがおよぶこともあるかもしれません。
ここでは、これまで刷り込まれてきた防災の常識をいったん白紙にして、あらためて身を守る行動について考えてみたいと思います。
これまでの防災常識を考える
机の下にもぐる?
訓練がアダになっている
ここで2017年に山梨の小学校で実施された抜き打ち地震避難訓練(無予告)の映像をご紹介したいと思います。
校庭に居た100人弱の児童の約9割は、緊急地震速報のアラーム音を聞いて、一斉に校舎の中に向いました。
校庭は何も落ちてきませんから、この場合頭を抱えてその場にしゃがむのが安全です。
机ごと押しつぶされないか?
阪神淡路大震災では、建物・家具による圧死が8割でした。机の下は安全とは言い切れませんし、逃げ道を妨げる可能性もあります。
机の近くにあるものは大丈夫?
机の近くに大量の本が積んである棚があったらどうでしょう。机の上に椅子が重ねてあったらどうでしょう。机の周りの環境も大切です。
大地震では立っていられない
大地震では立っていられないほどの揺れがきます。そんな状態で机を目指すと、かえって危険がある場合もあります。
すぐ火を消せ?
地震の最中に火の始末を急ぐと危険です。あやまって鍋に手がかかったり、天ぷら油などがこぼれてくると大変です。
避難場所へ避難?
全員が避難所に収容できるとは限りません。
車を左側に寄せる?
3車線の道路がすべて使用されていたとしたら左側に寄せるのは難しいです。けれど、全部の車が置いていかれたら緊急車両が通れなくなります。
避難行動のパターン化はキケン
このように、避難訓練のパターン化による防災の常識は、実際の災害ではキケンを及ぼすこともあるとわかりました。
では次に、適切な避難ができるためにはどうしたら良いのか考えてみます。
避難行動をパターン化しない
考えることが大切
大災害で状況を冷静に判断し考えて行動するには考える訓練が大切です。
『釜石の奇跡』では、子どもたち自ら避難計画を立てる訓練を繰り返していたそうです。
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【防災】命を守る行動『釜石の奇跡』に学ぶ
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災害から身を守る意識の備え『稲むらの火』に学ぶ
ふいうち訓練
ふいうち訓練だと考える力、行動する力が備わりますね。もちろん、学校の先生や上司、みんなに対してのふいうちです。
正解を出すことよりも、みんなで考えることが大切です。
防災常識にこだわらない
これまでの防災常識の思い込みをいったん白紙にしてみると視野が広がりますね。
地震に備えて知っておきたいこと
危険物
蛍光灯などの照明器具や窓ガラスは結構落ちますし、粉々に割れるのでキケンです。ブロック塀や壁なども危険です。
安全の備え
窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っておくと安心ですし、家具などには転倒防止策が効果的です。レンジなども飛んでくると凶器になります。
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自宅でできる地震対策のご紹介。家の安全は安心を備えられます。
スーパーでは、お酒や陶器・ガラス類などの陳列棚はキケンです。外では瓦やショーウィンドウ、看板などの落下物に注意が必要です。
安全・キケンな建物
銀行や新しい高層ビル、ガソリンスタンド、学校など、耐震性のすぐれた建物を知っておくと安心です。
その逆で、昭和56年以前の建物は耐震基準が古いため、避難経路を確認しておきましょう。
地震がきたら
回りを見渡す
揺れが来たらすぐ行動するのではなく、一瞬でも回りを見渡し、まず考えることが大切です。
無意識に机に一直線など、日頃のパターンで動くのではなく、その場の安全を見極めましょう。その上で机が1番安全なら躊躇なく机の下にもぐりましょう。
頭を守る
命に直結しやすい頭を守ります。ランドセルやカバン、買い物かご、両手など、何でも良いので覆い、できる限りしゃがみましょう。
頭は血が出やすい箇所ですし、脳を守る必要があります。
火は落ち着いてから消す
揺れが落ち着いてから火を消しましょう。消火のためのグッズを備えておけば焦らずに済みます。元栓やコンセントも切りましょう。
避難と帰宅困難
大災害では、みんなが被災者です。避難所が利用できないことも想定し、自宅避難の備えもしましょう。
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3日間生きる備え。備えていれば1秒で持ち出せる!
また、一斉避難は将棋倒しや低体温症などのキケンも伴います。状況によって帰宅にこだわらず、企業や駅などの施設滞在も選択肢の1つに入れておきましょう。
保温グッズは命を守るのに大切です。持ち歩いておくことをオススメします。カッパでも防寒になります。
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【防災】必ず備えたい保温グッズ。低体温症と対処方法のご紹介。
緊急車両用に道路を確保する
運転中地震にあったら、急ブレーキや急ハンドルをせず左側に停め、車に鍵をつけたまま置いて避難と言われてきました。
揺れがおさまり安全が確保でき車が動かせるようなら、緊急避難用の道路を確保できる位置まで動かすとさらに良いです。
まとめ
- 防災の常識にとらわれずに命を守る避難を考えましょう
- パターン化した避難訓練ではなく、ふいうち訓練や考える練習をススメます
- 地震がおきたらどうするか考えてみました